ピアジェ理論
ピアジェの理論Q&A
ピアジェって誰?
ピアジェは20世紀の大変重要な心理学者であり、幼児の教育方法論を体系化した人です。生物学や心理学のほか物理学、哲学などの影響を受け、発生的認識論という学問を確立した人でもあります。
ピアジェの考え方は?
ピアジェは「子供はどのように探究心をもって徐々に自分の世界を作ることが出来るかは、経験と知能の発達の結果である」と述べています。
また、人間は外界との相互作用を通して内部から知識を作り出すともいいました。もし赤ちゃんが日本語を一度も聞いた事がなかったら、決して日本語を話せるようになりません。もし、子どもが一度も自転車を見たことがなかったら、自転車の絵を描くことは出来ません。このように、環境の役割が重要である事は間違えありません。しかし子どもたちは環境の中で見たり聞いたりしたことをそのまま取り込んでいるのではありません。子どもたちは見たり聞いたりした事を、自分が持っている論理的数学的知識を通して解釈し、作り出しているのです。
幼稚園での取り組みは?
新琴似幼稚園は、子供が活動的に経験してその経験を頭で組み立てたり組み立て直したりして、観察力や考える力を養うことを、様々な活動の中でサポートします。
研究と実践
園内研修にてピアジェ理論を取り上げました [2010-01-19]
先生各々が「ピアジェ理論と幼児教育 」という本を現状の保育と照らし合わせながら読み、さらに教材(めざましあそび、ブロック遊び、人形遊びなど)を通して理論の実践を試し、それについての考察を報告し合いました。
また、講師に日本幼年教育会 の小林まき子氏を招き質疑応答及び講義を受け、子供達に体験させること・手を使わせること・考えさせることの大事さなどピアジェ理論についてより一層理解を深めました。
今後もピアジェ理論の研究・実践を通して、本園の教育・保育のさらなる充実を図っていきたいと考えております。
めざましあそびの研究保育を行いました [2011-11-25]
講師に日本幼年教育会 の小林まき子氏を招き、平成24年度から本園で始める「めざましあそび 」の実践講習を行いました。めざましあそびは、ピアジュ理論に基づき、変わり続ける社会に適応するための「自分の力で問題を見つけ出し、解決できる力」を身につける教育・教材です。
講習では小林先生が本園の園児に対して実際にめざましあそびを行い、教材を通して様々な表現力・読解力・コミュニケーション力などを学ぶお手本を見せて頂くという形で行いました。園児たちは、先生に対してわかりやすい説明を考えたり、どうしたら高いところにシールを貼れるか発言したり、お友達の発表に拍手をして称えたりと頑張っているようでした。
平成24年度から、ピアジュ理論のより具体的な実践「めざましあそび」が始まります。よりよい成果が訪れるようさらに研究・実践を積み重ねていこうと考えております。
平成23年度冬期園内研修会より [2012-01-16,17]
ピアジェ理論に基づく研究レポート報告例
その1 年長組(Aクラス)での実践研究
2学期に取組んだ日常活動実践項目
- 絵を描くこと
- 絵の具をつかったり、クレヨン、マーカーを使った活動
- ごっこ遊び
- おままごと、発表会の取り組みを通しての表現遊び
- 楽器演奏
- 簡単な楽器や、オルガンを通した楽器遊び
- 歌を歌うこと
- 季節の歌、童謡、流行の歌など
- 水を使った砂遊び
- 泥あそび、水を使った砂遊び
- 外遊び
- ぶらんこ、滑り台、シーソー、遊具、鉄棒など。
評価の見方
- 絵を描くこと
- 絵の具を混ぜたり、乾くのを待ったり、紙の上に塗ることは物理的知識を育て、その後に、表現することへの楽しみへとつながる。
- 絵の具を混ぜると色々な色に変わる、絵の具が乾いてなくて手に付いた、自分の描いた絵に色を塗るなど
- ごっこ遊び
- 時間的推理、社会的知識、表象を含み、子どもが言葉を使いながら、象徴そのものになり、多くの社会的知識をとすべての側面を象徴する。これらは、時間的系列を処理するのにもよいとされている。
- ☆ ままごとで、お母さん役を「ママ」、犬を「わんわん」と表現して遊ぶなど楽器演奏、歌を歌う
- 楽器演奏や歌を歌うことは、物理的知識を含んでおり、両方とも音高、音の長さ、強さ、旋律の比較を含み、時間的パタンを系列化していくことを励ますものである。歌を歌うのは、言語発達にとってよいことである
- 水を使った砂遊び
- 物理的知識と数量化を含んでおり、砂を湿らせたり、るいにかけたりする行動がそれにあたる。また、ケーキを作ったり、川やトンネルを作るのは表象する機会を与えるものである。
- 外遊び
- 外遊びは物理的知識や空間的推理の発達の宝庫であり、すべり台をすべるのはぶらんこをゆすること、ボールを蹴ることなどはそれにあたる。
ピアジェ理論の諸実践1、2事例研究
- ピアジェ構成論とは
- 人間は知識を外部から取り込むこと(内面化)によって獲得するのではなく、外界との相互作用を通して、内部から構成するものである。
☆ 子どもを取り巻く人や環境が重要な役割を持っている。
3種類の知識
- 物理的知識
- 外界にある事物についての知識
- 社会(習慣)
- 社会習慣についての知識源は個人の外側
- 論理数学的知識
- 個人が頭の中に作り出した関係づけから構成される知識源は個人の内部
☆ 3つの知識は共存しているが、同等の役割をもっているわけではない。論理数学的知識(関係づけ)を通して、物理的知識、社会的知識を構成していく。→子どもは遊びを通して、3つの知識を獲得していく。
1〜2事例研究 「鬼ごっこ」、「AKBごっこ」
平成24年度夏期園内研修実践事例レポート [2012-08-21,22]
めざましあそび
ピアジェ 年少組 めざまし遊びの取り組み
☆ 1学期の取り組み内容
こいのぼりパズル
- ねらい
- 絵の全体がばらばらになってもそれぞれの断片の形と絵とを手がかりにしながらうまく組み合わせて、その絵全体を再構成する遊びを通して、感覚運動的知能を活性化するとともに形の認識力を養う。
- 子ども達の様子
- 個人提示で、落ち着いた環境の下、取り組めるように配慮して行ったが、初めはやり方がわからなかったり、うまく埋めていけないことに戸惑う姿もあったが、少しずつ集中して取り組める姿が見られた。ほとんどの子ども達が最後まで一人で完成させることができ、途中止まり、集中が途切れそうな子には、個別に声を掛けながら、色々と考えて取り組めるように援助した。
ちゅうりっぷのパズル(裏面)
- 子ども達の様子
- ほとんどのこどもたちが、こいのぼりのパズルの後に引続き、興味を持って取り組み始めた。色や絵の区別がつきにくく、こいのぼりに比べ難易度が高まり、考える力が必要とされたが、こいのぼりのパズルで、完成する喜びを味わっていたため、途中で挫折しそうになる子は思っていたほどいなかった。何度も、ピースを当てはめながら、はまらない経験を通して、少しずつ完成させ、出来上がると要領を思い出し、何度も繰り返し取り組む様子が見られた。
ともだちができちゃった(動物のシルエット遊び)
- ねらい
- 絵の中に隠れたいくつかのシルエットを見分けて、適した形のものを対応させる活動を通して、形の認識力を養う。
- 子ども達の様子
- 全体提示で子ども達に参加してもらう形で進めた。発表では、一人ひとりが前に出て、大きな声で動物の名前を言い、考えながら発表する様子が見られた。また、間違えにも気づき、子ども達から間違えに対して触れるなど集中して参加していた。その後の個人での活動では、比較的簡単な内容だったのもあり、迷うことなくスムーズに行う様子が見られた。
めざましあそび実践レポート
☆ 1学期の実践を終えて
一斉に座って話を聞くことが少しずつ落ち着いて意識始めた6月頃からスタート。自分で操作してみる楽しみや、みんなの前で自分が思ったことや考えたことを発表することへの意欲・関心の高まりが、回数を重ねるごとに高まりが見られている。
又、その取り組みから個々の発達援助の方向性も汲み取る事ができ、教師側からの発見も多いと感じる。又、順番を待つ等の我慢する姿勢や、お友だちの話を聞いて判断したり共感する経験、イメージを広げる楽しさと、パズルのように考えて操作してみる事で、発見や躓きへの葛藤は、自信や集中力の高まりにも繋がっていくように思う。
何より、間違えや失敗に対する恐怖心をより取り除きながら、前向きに取り組む楽しさを感じられる様意識して進めて行きたい。
- かくれんぼ
- ホワイドボードに貼られた大きな絵に、とても関心を持って参加する姿あった。同系色の色で隠れている動物たちを探す内容であったが、身近な動物ばかりが隠れているのもあり、どの子も苦手意識を持たずに取り組んでいた。それぞれの手元に渡る同じ柄のシートがある事で、個々のペースで考える・操作する・発見するといった実感を持ちながらじっくりと取り組む事が出来るのが、とても貴重な体験と感じる。又、グループ事に相談してみたり、答え合わせを友達の前に出て、言葉で発表してみたりという体験も、少し戸惑いも見られたが関心も高まった様だ。
- みんなあっまった
- 屯田公園で伸び伸びと遊んだ体験をもとに、野原で遊ぶ動物たちについて、自由な発想で話し合ってみた。「でかけよう」の曲を踊り、ピクニックのイメージを広げつつ、黒板にシートと同じ野原に続く道を描き、ペープサートの動物を使って、どんな遊びをしたいか呼びかけてスタートした。
それぞれのシートで、遊びをイメージして動物シールを貼ったり、教材の一つであるルーレットを使って、出た目の動物が何をして遊んでいるかを聞いて回ると、かくれんぼや鬼ごっこ、川遊びや、だるまさんが転んだ等、発想も様々な体験を思い起こしながら取り入れる事が出来ていた。
発表する場では、ルーレットに出た動物のペープサートを園児に持ってもらい、会話や遊びを展開してみたり、実際に全員でかくれんぼをして遊んだりと、実体験も織り交ぜながら、全員が参加できる時間や機会を意識して楽しむ時間作りを心掛けた。もっとやりたいという声も上がる活動となった。
2013年 冬期園内研修レポート
★ 年少組 ピアジェ教育への取り組み
今年度よりピアジェ教育への取り組みが始まり、年少組でも指導のための手引きを参考にしながら学年で話し合い活動を進めた。
ねらいや内容が難しいものもあったので、今の年少組の子ども達が楽しみながら学んでいけるよう導入や活動内容を考えていった。子ども達はめざまし遊びの活動を楽しみにしているので、1・2学期の反省を活かしながら3学期も取り組んでいきたい。
★ 実践事例(ねらい 内容 総括省略)
- こいのぼり(パズル遊び)
- ちゅうりっぷのはなばたけ(パズル)
- ともだちができちゃった(シール遊び)
- すいぞくかん(シール遊び)
- だれにおでんわしているの(けいたいでんわであそぼう)
- あかとんぼ(シール遊び)
- はいポーズ(シール遊び)
- こびとさんのおうち(めいろ遊び)
★ 全体総括
1,2学期の活動はシルエットから実際の姿を想像し当てはめていく認知力を養うものと、色や大きさによって分類する分類操作を身に付けるものが中心だった。子ども達は楽しみながら、自分で考え集中して取り組む姿が見られた。
今年度は指導の手引きを中心に学年で話し合って活動をすすめていったが、その時のクラスの状況や雰囲気に合わせて各クラスが一番集中し楽しめる形で行うことが望ましいと考える。
また、私達も指導の際戸惑うことも多かったので、より一層ピアジェ教育について学んでいく必要があると考える。
2013年夏季園内研修会(本園保育室) [2013-8-5,6]
めざましあそび実践 事例検証(学年年少)
★ 1学期に行なっためざましあそび
- こいのぼり(パズルあそび)・チューリップのはなばたけ(パズルあそび)
- ともだちできちゃった(シールあそび)
- めざまし絵カード(くだもの、やさい)
★ 事例研究と検証「めざまし絵カード」(くだもの、やさい)
ねらい
果物、野菜の名称や特徴について知る。それぞれに対応するカードシールを貼る活動や、絵カードあそびを通して形の認識力を養う。
★ 実践の内容
- ホワイトボードを使用し、果物や野菜のシルエットを見せていく。
- クイズ形式で子ども達に当ててもらう。
- 一人ずつ前に出てきて発表する。
- 絵カードあそびのシールとシールで対応するシールをはっていく。
- 絵カードパズルを行う。
★ 実践を通して気付いたこと 〜今後の課題〜
- 果物→いちご、めろん、ぶどう、りんご、ばなな、みかん野菜→きゅうり、にんじん、とまと、だいこん、なす、ぴーまんシルエットを見て、大体の子どもがどんな野菜、果物なのか理解していた。
- 前に出て発表するということには慣れていない子が多く恥ずかしがる子が多かった。しかし、発表したいという意欲もあり小さい声でも一生懸命答えていた。
- シールの活動では、シールを台紙からはずすことが難しいようだった。個人差が大きかったので慣れるまではどのようにはがすのか説明が必要だと感じた。しかし、シールのはがし方ひとつにしてもじっくり自分で考えて行う姿が見られたので、その部分もめざましあそびの学びのひとつなのではないかと考える。子供達の様子、当日の保育時間なども考えて臨機応変に対応していきたい。
- 個人差の問題、すぐにやってしまう子、時間のかかる子で活動に時間差が出来た。出来上がった子にはもう一度やるようになど声をかけた。時間差をすくなくするには、事前に難しい部分の説明、遅い子に声を掛け手伝うなども必要だと考える。遅い子なりの取り組み→シールをじっくり見て、確認してからシールをはがす。シールを枠からははずして、一度シールに置いてから貼る。子ども達なりに考えて行っている。ただ遅いだけではない。全体の活動の進み具合個人の取り組み→どのように調節していくか。